鉛蓄電池の不良
蓄電池の不良事例
発電機の起動用や直流制御電源盤の中などに入っている鉛蓄電池。
ときどき不良を見つけることがあります。
ここ数年見かけた不良事例です。
①上部の蓋の割れ
②電解液が漏れたようなあと
③電解液不足
3例とも共通していたのが、蓄電池と触媒栓の交換推奨時期が過ぎていました。
おそらく、触媒栓の機能が失われ、電槽内で発生した酸素と水素で電槽内の内圧が上昇し、蓋が割れたり、電解液の噴出につながったのではないかなと思います。
月次点検
月次点検では下記に注意しながら点検しています。
- 外観点検
⇒下記の内容を注視しています。
蓋、電槽 :亀裂が入ってないか?変形してないか?パッキンが割れていないか?
蓄電池内部:電極がボロボロになってないか?内部に異物が落ちていないか?
触媒栓 :亀裂が入ってないか?パッキンが割れてないか?電解液が漏れた跡がないか?
端子部 :電線の緩みが無いか?電解液の漏れた跡がないか?
液面 :電解液が規定量入っているか?(液面が下限と上限の間まで入っているか?) - 電圧確認
⇒ 負荷に対して適正な電圧が出力されているか? - 温度測定
⇒ 蓄電池の温度が仕様の範囲内であるか?過熱箇所はないか? - 蓄電池、触媒栓の記録シールの確認
⇒ メーカーの交換推奨時期を過ぎていないか?
※今回のHS形の寿命は5~7年。触媒栓の交換推奨は5年。
メーカー資料を見ていますと、使用環境の適切な温度は25℃のようで、使用環境温度が10℃高くなると寿命が短くなるようですので、周囲温度が高い場所は注意が必要です。
最後に…
不良傾向が見られ始めても意外と運転できてしまうので軽視されやすいのかなと思います。
しかし、③の事例は最初はある程度電解液が入っていたため発電機を起動できていましたが、ある月の点検で電圧は規定電圧あるのに起動できなくなりました。
発電機や制御電源など非常時に動くことが大切になります。
完全に故障する前に交換いただけるようお客様へご報告することが大切なのかなと思います。