真っ直ぐな形の避雷器
先日、月次点検をしていたら、形が真っ直ぐな避雷器を見つけました。
よく見る避雷器の形は、波打った形をしていますが、今回見た物は真っ直ぐでした。
気になったので調べてみました。
・結論
・何が違うのか?
・どんなところで重耐塩仕様?
・最後に
・結論
音羽電機さんの重耐塩仕様の避雷器でした。
塩害、塵埃、多湿地区用でした。
避雷器にも重耐塩仕様があるとは知りませんでした。
確かに写真の避雷器を見たのも、海から1kmぐらいの需要家でした。
・何が違うのか?
一般的によく見る避雷器の中身は、酸化亜鉛(ZnO)素子だけですが、
音羽電機さんの重耐塩仕様の物には、ZnO素子+直列ギャップが内蔵されていました。
酸化亜鉛(ZnO)素子
過電圧に対しては抵抗値が低く、過電圧を除去した後の常規運転電圧に対しては抵抗値が高い素子。
過電圧を除去した後の常規運転電圧によって流れる電流を「続流」と言うが、続流が切れやすい特性がある。
直列ギャップが内蔵されている理由としては、ZnO素子が壊れた時の二重保護の目的で内蔵されています。
重耐塩地区のような気象条件が過酷なところは、ZnO素子が万が一壊れても地絡事故に移行することが無いよう直列ギャップを付けています。
・どんなところで重耐塩仕様?
機器仕様書には、等価塩分付着密度 0.50mg/cm2以下とありました。
等価塩分付着密度
汚損度を表す数値。碍子表面の汚損量を同一の導電率を与える塩化ナトリウムの量で置き換え、それを表面積で割った値。
私は単位面積あたりの塩の量と考えてます。
0.50mg/cm2以下のエリアとは、私の九州電力エリアでは、海からだいたい0~1kmのエリアでした。
等価塩分付着密度とエリアの関係性が分かる資料は、「塩じん害に対する最低必要がいし連結数」の資料でした。
その資料が「九州電力送配電 電気最終保障供給約款の別表」に載っていました。
汚損地域区分がDで400mg/下面です。下面は碍子の下面面積です。
標準懸垂がいしの下面面積は、一番小さな物で800cm2のため、400を800で割ると0.5mg/cm2です。
計算の結果、重耐塩仕様は汚損地域区分Dまで使用でき、海からの距離は一番条件が厳しい季節風で0~1kmまででした。
汚損地域区分は電力会社ごとに考え方が違っているため、各電力会社の資料をご確認ください。
・最後に
今回調べて一番勉強になったのは、重耐塩仕様を使うエリアです。
需要家が海からどれくらいの距離にあり、それがどの汚損地域区分かが分かることにより、機器の仕様が分かります。
海に近い所の点検の時には意識して点検してみます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。